Oracle 国防総省裁判に敗訴、1兆円超のペンタゴンのクラウド案件の勝者はAWSかMicrosoftか

「訴訟はAzureの手助けをしたまで」

このJEDI (Joint Enterprise Defense Infrastructure:ジェダイ) と命名されたプロジェクトは、10年間にわたり、最大で約1.12兆円にもなる大型クラウド契約で、AWSとMicrosoft Azureの2社が最終候補ベンダーで残り、開札結果は今年8月に発表される予定です。

アメリカの連邦請求裁判所は、米国国防総省(DoD) のこのクラウド案件に関連するオラクル側からの訴訟を棄却しました。

「AWSへの影響は無し」

オラクルは、「AmazonがJEDIプロジェクトに関与していた2人のペンタゴン職員に対し、有利な採用条件をぶら下げた。」と主張していました。

そのうちの1人、Deap Ubhi氏は、以前はAmazonに勤務していましたが、その後再度AWSに復帰しました。その復帰直前に彼はUS Digital Service(USDS)で18か月間勤務していました。その1年半の間に彼はJEDIの“入札業者”との「非常に技術的な」議論に携わり、調達に関する情報へのアクセスを行っていた、と主張しています。

もう一方で、オラクルは、 国防副次官補の最高責任者であるAnthony DeMartino氏に対しても、 AWSと仕事をしていた頃の以前の彼の勤務先であるコンサルタント会社での業務内容が利益相反を示していると主張していました。

オラクルの申請書には、「直近の数十億ドル規模の(政府のクラウド)プロジェクトの調達期間中に、請負業者であったAWSは連邦調達担当官に対し、非公開の雇用契約およびボーナスの支払いを行い、AWSから採用の内定を受けたJEDI職員は、JEDIの調達資料のダウンロードおよび削除を行い、さらに(AWSへの復帰を確約された後に)同じ職員によって組織化され開催されたAWSの競合他社との「技術的な」ミーティングの実施と、入札条件を制限するような基準策定に対する熱心なAWSの擁護活動やAWSを推すかのような数々の技術的要件定義の策定、そしてAWSへの復帰を非公開で合意した国防総省の役人によって発表された単一ベンダー(AWS)の直近案件の落札、などが述べられています。

「AWSの担当者はJEDI関連のミーティングにおいて、非公開の雇用契約を結んだ国防総省 JEDIプロジェクトの役人を利用し、AWSは連邦調達に関連した国防総省への重大な虚偽記載をタイムリーに開示しておらず、そしてそれは今、調達記録に今も存在している。そして国防総省のIGとFBIによる調査は今も続いています。請負業者にとって、競合排除は少なくとも心配である。」と。

国防総省は、JEDIの契約条件書を作成する際の個人の役割について重要視せず、不正であるとの主張を退けました。

Eric G. Bruggink判事は、利益相反が調達プロセスに影響を及ぼさなかったという国防総省側の主張を支持して、最終的にOracle側の訴訟を棄却しました。

この訴訟を棄却した主な理由は、当初の契約基準が合法であると判断され、「オラクルが当時これらの基準の下で競争することができなかったためである。」との判断によるものでした。

ペンタゴンのスポークスマンElissa Smith氏は声明の中で次のように述べています。「これは国防総省の立場を再確認するものです。JEDIクラウドの調達プロセスは、公正かつ完全で開かれた競争として行われました。」

「国防総省は、戦闘機の支援のためにこの重要な基盤の整備を緊急に必要としており、また、JEDIの稼働を待機している複数の軍事サービスや軍事司令もあります。」

今年の初めに、裁判所はIBMが提起した同様の訴えについても棄却しました。

JEDIクラウド案件のベンダー選定は現在進行中で、AmazonとAzureのみが最終候補企業として残り、8月末に選考結果が発表される予定で推移しています。

しかしながら、Marco Rubio上院議員が先週、国家安全保障担当顧問のJohn Bolton氏に以下の内容の書簡を送ったことで、もう1つ障壁が生まれました。 「JEDIは100億ドル、10年の契約になる可能性があります。このようなプロジェクトの入札はいずれのベンダーに対しても偏りなく実施すべきです。」

「しかし、DoDは入札者に恣意的な基準を策定しました。200社が当初興味を持っていたにもかかわらず、DoDはJEDIに入札する企業は4社のみという制限的な基準を設定しました。DoDはさらに、任意の基準を用い、AmazonとMicrosoftのみを残し、IBMとOracleの2社の入札企業を排除しました。そして結局、複数のベンダが継続的な価格競争と最新のイノベーションを保証したにも関わらず、DoDはこれだけ大規模な契約を単一のベンダにのみ与える予定です。」と、このように述べています。

2016年にオラクル創設者のLarry Ellison氏からキャンペーン募金で400万ドルを受け取ったRubio氏は、次のように補足しました。「最高のコストと最高のテクノロジをこの クラウドコンピューティング のニーズに対して競争いただくために、公正かつオープンなプロセスで全ての入札を評価することに加え、すべての提案が完了するまで開札発表を遅らせるようお願いいたします。」

マイクロソフトの最後の仕事

不適切であったのか、あるいは単にAWSが今回の要件に対する最適なクラウドサービスを提案していたからなのか?にかかわらず、元々のJEDIの要件は、AWSを非常に好んでいたように見えます。

しかし、数々の訴訟や内部調査によって契約締結時期がずれ込んだことにより、Microsoft Azureは結果的に有力な候補の一社となりました。

今年に入り、Microsoftは一部のデータセンターでDoD Impact Level 6(IL6)に対する準拠を獲得し、2つの新しいAzure Government Secretリージョンの導入を成功させています。

さて、結果はいかに?

Data Center Dynamics

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