放射冷却によるデータセンター冷却手法 – スタンフォード大学発のスタートアップ

空を見上げて、革新的な冷却手法を探そう

データセンターの冷却においては、外気温やチラーの冷却能力、ファンのエアフロー等が考慮されることが多いですが、それに比べると、私たちを取り囲んでいる空間温度に対して関心が向けられることはほとんどありません。

しかしこの現状は、熱が空間へと放散されるという”魅力的な”自然現象を活用し、新しい冷却手法を計画している小さなスタートアップ企業によって変わるかも知れません。SkyCool社は、地面に吸収されない8〜13マイクロメートルの赤外線波長で熱を放出するパネルの開発を開始しました。

究極のヒートシンク

SkyCoolの共同設立者兼CEOのE・ゴールドスタイン氏は、「これによって、本質的な意味で、上空の低温度を利用した冷却ができるようになります。より大局的にとらえれば、宇宙は究極のヒートシンクです。その温度は約3ケルビン(-270℃)と、極めて低温です」と述べました。

この自然現象は何世紀にもわたって注目・研究されていますが、二酸化ケイ素と酸化ハフニウムの層で覆われた銀の薄い層から作られたSkyCoolのパネルは、まず、日中の熱を除去することができます。

このシステムの試作品は、2014年、ラスベガスの2階建てオフィスビルに設置されました。直射日光にさらされても、パネルは周囲気温より4.9℃低く保たれ、1平方メートルにつき40.1Wの冷却能力を提供しました。

「SkyCoolのパネル表面は、太陽の熱を吸収することはできませんが、赤外線の形で空中に熱を同時に放射することができます。このような特性の組み合わせは、実際に天然素材には存在していないため、ここ最近までは設計するのが非常に難しいものでした」と、ゴールドスタイン氏は語りました。

新興企業SkyCoolは、スタンフォード大学の3人の研究者、ゴールドスタイン氏と彼の博士後期課程のアドバイザーA・ラマン氏、彼の教授、S・ファン氏によって構成され、スタンフォード大学で最初に実施された研究を商品化することを目的として昨年設立されました。

ゴールドスタイン氏は、「この夏の終わりには、カリフォルニア州内に新たに2箇所、設置したいと思っています。その後で、より多くの場所にパネルを展開し、スケールアップする計画です」と語りました。

SkyCoolは、水グリコールを循環させるこのパネルが、データセンター、冷却業界、商業用冷却といった高い冷却負荷を必要とする分野で成功を収めることに期待しています。

ゴールドスタイン氏は、「早くから私たちはエッジデータセンターに注力しています」と語りました。「大規模な施設は確実に関心を持っていると思っています。負荷全体をカバーしたい場合は、屋根だけでなくパネルの隣接スペースも必要です。従来の冷却システムと組み合わせてパネルを使用して、冷却塔の水の使用や、もっと古い冷却手法による電力使用量を削減することもできます」

彼は次のように付け加えました。「これまで、データセンター事業者と数多く討議を重ねてきました。私たちが今直面している最大の課題は、SkyCoolは小さな会社であるため、5MWあるいはそれ以上の規模を持つデータセンターへのインストールは、対応が難しいということです。」

もう一つの課題は、と彼は続けました。「残念ながら、特にデータセンターのような施設では、技術を試してみたい人は誰もいません。SkyCoolの技術そのものは機能するとは私たちは分かっています。私は水を加熱し、ポンプでパネルの中を通して、水を冷やすことができることを実演することもできます。私たちが次に実演しなければならないのは、技術面ではなく、費用対効果の高い方法で設置し、これを実際のシステムに組み込むことです」

「エネルギー面はかなり単純です。どのくらいの熱を除去する必要があるか、どれだけの熱をパネルで除去できるかは分かっています。あとは、どうやって規模の大きな仕事をするか、です」

– Data Center Dynamics
原文はこちら