中国のデータセンターが再エネへのシフトを開始【特集】

Greenpeaceによると、中国における再生可能エネルギーへの関心が高まっており、先進的な中国系企業は再生可能エネルギーの利用に取り組み始めているようです。Greenpeace環境キャンペーングループは、IT部門における再生可能エネルギーの使用調査をまとめたClicking Cleanレポート中国版のリリースを予定しています。

Greenpeace East AsiaのClimate and Energy部門のプログラムマネジャーを務めるYuan Ying氏は、中国の再生可能エネルギー市場は拡大傾向にあると、 GreenpeaceのClicking Cleanシリーズの新しい研究報告書「China Clicking Green 2019( 中国のITおよびデータセンターの持続可能なエネルギー使用量を調査した報告書 )」の発表に先立ちDCDに語りました。

このレポートは年末に公開を予定されており、Ying氏は12月のDCD> Beijingイベントのセッションでそのレポートからいくつかの情報を発表するようです。

ゆるやかな採用

中国企業は、小規模のパイロット導入から再生可能エネルギーの採用をゆるやかに始めており、注目すべき大規模な導入に着手している企業もあります。たとえば、河北省張北にあるアリババのデータセンター(600,000台を超えるサーバーを保有する巨大クラウド施設)は、地元の風力発電所から風力エネルギーを直接購入しています。他にも、2018年に山西省のBaiduデータセンターが550GWhの風力エネルギーを購入しています。

これらの例を見てもわかる通り、中国国内で再生可能エネルギーの採用はますます増加傾向であることが示されており、IT/データセンターのリーディング企業は、セクターを100%再生可能エネルギーへとシフトさせるかもしれない大きな可能性を示しています。現時点では、データセンター部門の再生可能エネルギーの利用率は約23%です。

中国は、再生可能エネルギー供給源の構築において驚くべき進歩を遂げた。」とYuan氏はさらに次のように続けます。「中国には、世界の他のどの国よりも多くの再生可能エネルギー発電容量がある。 2018年末時点で、太陽光と風力発電設備の設置容量は、ヨーロッパの全容量を超えている。」

改善の余地

しかし、まだ改善の余地があります。Yuan氏は、再生可能エネルギーへの「大規模な移行」はまだなく、企業における再生可能エネルギーの調達はまだ比較的初期の段階にあると認めています。しかし、彼女はこの分野における認識として「ゆるやかに構築が進んでいる」とコメントしています。中国企業は、2年前の初版レポートよりも今年の報告でより多くの実績を示しています。

重要なことは、MicrosoftやGoogleなどの西欧のテクノロジー大企業とは異なり、中国のテクノロジー企業やデータセンター事業者は、再生可能エネルギーを完全に採用するとは公約していません。エネルギー利用に関する透明性は、まだテクノロジー企業の標準にはなっていません。これは、認知度の向上には役立ちません。

「全体的な電力消費量、電力構成、エネルギーカーボンフットプリントについての情報を一般公開している企業はほとんどありません。各企業のエネルギー使用量と関連するCO2排出量の処理方法についての透明性の欠如は、 公共の利害関係者にとって測定の必要性を生みます。

「再生可能エネルギーの採用を促進するためには、企業に統合化された内部組織を確立するか、エネルギーの持続可能性を管理する専門チームを持つ必要がある。これにより、機能が通常複数部門にまたがることに起因し、組織の再生可能エネルギーへの移行の実現を困難にしている現在の課題を克服するのに役立つであろう」と彼女は説明しました。

再生可能エネルギーの採用の増加

PUE (電力使用効率)目標を規定することでエネルギー効率を改善しようとする中国政府の取り組みはどのようなものでしょうか?中国のデータセンターの平均PUE値は2015年時点で2.2でしたが、ここ数年で大幅に改善されました。今年の初め、上海市当局は、新設データセンターのPUEを1.3にするための3年間の行動計画を発表しました。

Yuan氏は、PUEがデータセンターのエネルギー効率の大幅な改善に導く強力な指標として機能することは認めていますが、PUE自体を解決策とは考えていません。

「エネルギー効率を最適化するだけでは、気候変動が直面している課題の規模に対処するには不十分だと考えている。データセンターに供給される電力源に起因するCO2排出と大気汚染物質への取り組みを開始する必要がある。」

Hans BraxmeierによるPixabayからの画像

各地域で異なる再エネ開発など、新興の再エネ市場における不均一な政策は、データセンター事業者が再生可能エネルギーを完全に利用するための障壁となっている。とYuan氏。

これにより、データセンター事業者にとって、各施設で利用可能な最適な再エネを導入するための負担が重くなります。その上、多くの企業は、最適な取引を行う上で市場機会を明確にするための、再生可能エネルギー固有の複雑さに対処する能力やノウハウを欠いています。

緊急の対応が必要

幸いなことに、状況は急速に変化しており、中国政府による市場改革のおかげで、追加の調達メカニズムが叙々に利用可能となってきています。

2015年以降、電力市場の改革により、企業がオンサイト分散再生可能プロジェクトの構築、再生可能エネルギー発電機からのクリーンな電力の調達、グリーン電力証書の購入などの多様なメカニズムを通じて再生可能エネルギーの調達を行えるといった前例のない機会を生み出しました。

究極的には、業界全体でさらに多くのことを行う必要があります、しかも緊急に。結局のところ、中国のデータセンターは化石燃料に大きく依存しており、2018年には推定1億1,700万トンのCO2を排出しています。もし再生可能エネルギーの利用率に変化がないと仮定すると、2023年までに1億9,400万トンに達すると予測されています。

逆に、データセンターの再生可能エネルギーの利用率が3分の1から30パーセント増加した場合、2023年までに1900万トンのCO2排出量を削減できるとYuan氏は言います。これは、約1,000万回の大西洋往復便フライトの排出量に相当します。したがい、全てのデータセンターで再生可能エネルギーを採用していく事が重要です。そして、それは早いほど良い。

今のところ、Yuan氏は、(まだ小規模ではあるが)複数の再エネ・パイロットプロジェクトが実を結ぶことを期待していると言います。「中国国内の電力改革が深まり、企業の調達メカニズムが多様化する中、これらのパイロットが将来の再生可能エネルギーへの大規模転換に向けた種になると考えています。」

Data Center Dynamics

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