Microsoft、高圧データセンターの特許取得

効率的な熱伝導を狙う密閉型データセンター

マイクロソフトは、従来のアプローチよりもはるかに効率的な熱伝導を可能とする高圧データセンターの特許を取得しました。

「一部のデータセンターでは、ヒートシンクと扇風機を使用している(これはかなりの量のエネルギーを消費する可能性がある)」と、出願(特許US10426062)には記載されています。 「より高い電力レベルの液冷回路および液浸槽(高価でエラーが発生しやすい)の場合、より高価なヒートシンクソリューション等が必要となる。」

「必要なのは、高価な追加ハードウェアを必要としないデータセンターの冷却を効率的に改善する仕組みです。」

その仕組みとは、特許によれば、高圧ガスで満たされた密閉型のデータセンターとなります。

どのような特許なのか?

マイクロソフトはコメントについて拒否していますが、特許出願書類を見ると、いくつかの詳細が見えてきます。 高圧は空気の密度を高め、熱容量を増加させます。従い、ITシステムから熱を除去できます。この特許では、異なる圧力下におけるガスの選択を想定しています。 「いくつかの実施例によると、ガスは少なくとも2倍の標準圧力から実質的に5倍の標準圧力まで加圧される可能性がある」と特許では解説しています。

記載されているガスには、通常の空気(窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素を含む)、または純窒素(N2)、二酸化炭素(CO2)、六フッ化硫黄(SF6) などの不活性ガス 、および上記の組み合わせがあります。

以下の図で、マイクロソフトは、熱伝道やファンの出力に対し、異なる圧力下で異なるガスを使用した場合の潜在的なメリットを示しています。

Peter HによるPixabayからの画像

– Microsoft/USPTO

六フッ化硫黄(SF6)は高分子量の不活性ガスで、高電圧回路ブレーカー、スイッチギア(開閉装置)、およびその他の電気機器の誘電媒体としてすでに使用されています。Microsoftの特許によれば、 六フッ化硫黄(SF6)を充満させ密閉されたデータセンターでは、ファンは標準の25%ほどの電力で稼働でき、熱伝導率はほぼ7倍の効果があると言います。

ただし、SF6は不燃性で無害ですが、気候変動に関する政府間パネルが評価した最も強い温室効果ガスであり、100年以上に渡り地球温暖化係数をCO2の23,900倍にします。また推定される大気中寿命は800〜3,200年にもなります。

密閉されたデータセンターであろうと、少量のガスが漏れることは避けられません。工業用地でのガス漏れにより、SF6レベルは毎年増加しています。 SF6を使用しない開閉装置を製造しているEaton社によると、ガス漏れ率はは開閉装置のライフタイム全体でみて最大15%にもなる可能性があるといいます。

最大のガス利用ユーザーである米国エネルギー省は、大量のSF6が大気中に漏れていることを発見しましたが、大規模な修正作業を行い、その量を削減することに成功したようです。

マイクロソフトの特許は、ガス漏れリスクについては掘り下げていませんが、ガス管理システムについて詳述されています。システムでは例えば、圧力感知、ガス成分検知、圧力制御、ガス成分制御 を自動的に実行したり、また オペレータの安全を確保するため、ヒューマンアクセス用安全ドアの制御を行うとしてます。

このようなデータセンター内の圧力上昇やガス成分の変化は、これがメンテナンスの必要性を最小限とする ライトアウト施設 向けであることを示唆しています。ただし、サービスやアップグレード時には人間がデータセンター内にアクセスする必要があり、サーバールームを人間にとって安全にするために、「ヒューマンアクセス用安全ドア」システム、圧力制御ユニット、ガス管理システムが必要になります。

– Microsoft

海底データセンターでの実験

マイクロソフトが、Project Natickリサーチイニシアチブという、高圧の船舶内での低メンテナンスデータセンターに関する高度な研究プロジェクトを既に保有していることは注目に値します。

同社は、スコットランドのオークニー諸島の沖合にコンテナサイズのプロトタイプデータセンターを沈めました。 12ラックのシリンダー形状のNatickには窒素ガスが充填されています。 プロジェクトのWebサイトでは、システムが一定の気圧で動作していることが示されています。

「高圧でエネルギー効率の良いデータセンター」特許は、データセンターを水中に沈める可能性については触れられておらず、ヒューマンアクセス用の安全ドアが施設を外部の空気から分離しているという印象を与えています。

この特許は、 マイクロソフトのアドバンスド・データセンター開発マネージャーのWinston Saunders氏の功績によるものです。彼は20年以上インテルに勤務し、データセンターの電力イニシアチブのディレクターなど、さまざまな役職を歴任してきました。

Data Center Dynamics

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