【特集記事】液冷の10年

【著者】 Peter Poulin氏(GRC社 CEO)

大型コンピュータを冷却するには、以前は液体冷却が唯一の方法でした。現在、手法はそれに回帰しています

電子部品の液体冷却は新しい技術ではありません。 それは1887年以前から高電圧変圧器の絶縁と冷却に使われてきました。液体冷却コンピュータ機器の初期の事例の1つは、 1960年代 のIBMのSystem 360コンピュータでした。1980年代までには、(コンピュータの密度・電力の使用・発熱の点で)今日のデータセンターの先駆けであったスーパーコンピュータやメインフレームにおいて、液体冷却は一般的な手法でした。さて、2019年には、液体冷却が再びデータセンターの冷却の解決手法になってきています。

それでは、なぜ、どのように冷却技術の進化が液体から空気、そして再び液体へと戻ってきたのでしょうか?

Back in the swim

メインフレームコンピューティングの初期の頃は、液体冷却に代わる方法はほとんどありませんでした。装置の熱密度は空冷では対処できませんでした。液体の優れた熱伝達能力(空気の1,000倍以上の熱容量)は、メインフレームメーカーに信頼性の高いソリューションを提供しました。

すべては相補型金属酸化膜半導体( CMOS )の登場によって変化しました。この技術は、コンピュータで使用される半導体の消費電力(ひいては発生する熱)を大幅に削減し、液体冷却よりも低コストである空気冷却を可能にしました。ここ数十年の間に、熱負荷に密接させる新しい技術の冷却システムの登場で、空冷システムはより効率的になりました。 例えば、部屋の周囲 に配置された電算室空調装置 (CRAC)と エアハン装置( CRAH )の構成をラック列内にした インロウ冷却 ( In-Row冷却 )、ラック背面側で冷却する リアドア冷却 など。しかしながら、ますます性能向上したサーバーにから発生する熱は増大し続けています。つまり、空冷能力の限界を超えてきています。

今、振り子は揺れ動いています。ブロックチェーン、人工知能(AI)、 機械学習 、およびその他の高性能コンピューティングアプリケーションなどの新しいテクノロジーが、より強力なシステムを必要としています。そしてより強力なシステムはより多くの熱を必要とします。かつて経済的であった空冷ソリューションは、これらの新しい要求に答えるのに努力していますが、建築や運用がますます複雑になり、コストがかかるようになってきています。同時に、液体冷却ソリューションの費用対効果はますます高くなり、多くの場合、空冷式での対応製品よりも高いROIと低い総所有コスト(TCO)を実現しています。このメリットは、もはや高密度データセンターだけに限られるものではありません。実際、多くの経済的利益はラックあたり15kwという低い実装密度で実現されています。

液冷への再移行は2000年初頭に始まりました。

  • 2000年に富士通がハイブリッド水冷システムを搭載したGS8900メインフレームを発売
  • 2005年にIBMが、高密度ブレードサーバー用のリアドア熱交換器を発表。CMOSプロセッサに水冷方式を使用し始めた最初の大手企業
  • 2008年にIBMが、マイクロプロセッサの上に水冷銅板を使用した、直接冷却システムによるスーパーコンピュータ、Power 575を発表。これは、ES / 9000以来、メインフレーム用の最初の液体冷却システムであった。
  • 2009年に Green Revolution Cooling(現GRC)がCarnoJetという単相 液浸冷却 を発表
  • 2009年に Iceotopeが、プロセッサブレードに 液浸 タンクを設置
  • 2012年、二相液浸技術がクリプト(暗号)マイナーによって使用された
  • 2018年に CoolITが最も高発熱環境の部品を直接冷却する直接接触液体冷却(別名 liquid-to-chip )を発表

これらはもはやニッチなソリューションではありません。データセンターは現在広く 液体冷却 を採用しています。2018年のUptime Instituteの調査によると、 現在 データセンターの14%が、効率の向上と運用コストの削減ニーズに対処するために何らかの液体冷却方式を使用しています。ラックの実装密度、スペース上の制約、データセンターやエッジのロケーション上の要件などの条件、 あるいはシステムが GPUASIC ベースか CPU ベースか、 既存設備への後付けか新設か等々、さまざまな要因に基づき、それぞれの組織に適した冷却ソリューションが決まります。

機器の冷却は、あらゆる高密度コンピューティング環境を管理する上での大きな課題の1つです。最新の高性能コンピューティングアプリケーションはさらに多くの電力を必要とし、より多くの熱を発生し、空冷の能力を超えています。液体冷却は費用対効果の高いソリューションで、ほぼすべてのデータセンターで高い投資収益率(ROI)と低い総所有コスト(TCO)を実現します。データセンターの液冷に関してまだ検討していないのであれば、今がその時です。

Data Center Dynamics

原文はこちら

【補足】

株式会社DC ASIAでは、高密度・高発熱コンピューティング環境に対する冷却ソリューションとして、リアドア冷却In-row冷却 など 最適なシステムの提案・導入を行っています。データセンターやエッジ環境において安定・効率的な冷却環境をご検討のお客様はお気軽にご相談ください。