米国の新国防長官がJEDIクラウド契約を保留し再調査へ

“ペンタゴンがオラクルを「情報に乏しく、しばしば巧みな操作をしている」と非難したわずか1週間後に”

10年間の契約で最大で約1.12兆円にも上る米国国防総省(DoD)のJEDI(ジェダイ: Joint Enterprise Defense Infrastructure )と名付けられた巨大クラウド契約の最終決着は、無期限で遅れることになりました。

つい先日の2019年7月23日に新たな米国国防長官に任命されたマーク・エスパー氏は、本来であれば今月中にAmazon Web Services(AWS)またはMicrosoft Azureのいずれかが落札する予定であった本契約について再調査をする方針を固めました。

更なる遅れ、更なる混沌とした事態へ…

「エスパー長官は、アメリカ国民の​​税金を守りながら、世界で最も強力な軍事力(フォース)を維持し続け、人工知能を含む最高の軍事力を確実に手にすることを約束しています。」

国防総省の広報担当者であるエリッサ・スミス氏は、このようにコメントをしています。

「米国議会やアメリカ国民への約束を守りながら、エスパー長官はJEDIプログラムを再調査します。彼が調査を完了するまで、プログラムに関する決定は下されません。」

調査がどれほど徹底的に行われるのか?、またはそれにどれくらいの時間がかかるのか?に関する詳細は公表されませんでした。7月23日に新国防長官としての宣誓を行った翌日の記者会見で、エスパー氏はJEDIについて「私が真剣に調査したいことの1つ」であると言っていました。

エスパー長官のこの動きは、 つい先日、トランプ大統領が記者団に対し、次のように語った直後のことでした。

– Gage Skidmore

「彼らはこれは競争入札ではなかったと言っている…世界の偉大な企業らがそれについて抗議している、Amazonと国防総省は何か関係がある、そして私はこの件について非常に厳密な調査を依頼する。一体何が起こっているのかを知るために」

しかし、このトランプ氏のコメントは、ワシントンポスト社のオーナーでもあるAmazonのCEOジェフ・ベゾス氏に対する嫌悪感からくる脚色も含んでいる可能性があると思われているが、もしかすると「Oracle文書」を知らせたかったのかもしれません。

– Sebastian Moss/Disney

今週頭に、Oracleのロビー活動家によって書かれた文書がドナルド・トランプ大統領の机に届いていた事実が明らかになりました。その内容はAmazonが主導する巨大な陰謀についての主張が記述されていました。

国防総省が定める必要要件を満たしていなかったため、JEDI契約を争うことができなかったOracleは、当契約を非難する大規模なキャンペーン活動を行っており、要件定義書はAWSを好む内容で書かれていたと示唆しています。IBM他のJEDI入札から外された企業も、より小規模ではあるが、同様の批判活動を重ねてきました。

同じく今週の頭、国防総省のスポークスマンは、「情報に乏しく、しばしば巧みな操作をしている」とOracleを批判していました。

スポークスマンは、次のようにも補足していました。「同じことがJEDIをめぐる議論の当事者全てに当てはまるわけではありません。」

JEDIプロジェクトはすでに幾多の捜査や訴訟により、相当な遅れが生じています。

AWSの社員と国防総省の職員との間の不適切な関係について、Oracleが指摘する核心部分は、Deap Ubhi氏に関する疑惑です。

「Deap Ubhi氏は、以前はAmazonに勤務していたが、その後再度AWSに復帰した。その復帰直前に彼はUS Digital Service(USDS)で18か月間勤務し、その間に彼はJEDIの“入札業者”との「非常に技術的な」議論に携わり、調達に関する情報へのアクセスを行った」との主張です。

しかし、連邦最高裁判所にOracleが提起した法的訴訟は、Eric G. Bruggink裁判官によって却下されました。判決では、こう述べられました 。「AWSから提供された情報はUS Digital Service(USDS)に在籍中のUbhi氏とAWSとの人間関係に関連していた。その中で、彼が辞任の理由についてDoDに嘘をついていた事、そしてDoD倫理規定を遵守するとAWSに嘘をついていたことを知らずにAWSは彼を採用した。実際、Ubhi氏は関連情報を隠し、DoDとAWS双方を誤った方向に向けてしまった。」

しかしBruggink裁判官は判決で「AWSと国防総省の従業員との間に相当量のコミュニケーションと交渉があった事は事実ですが、十分に開示されていない利益相反の可能性があった。」、 「過ちや手落ちは重要なポイントではなく、AWSに競争上の優位性を与えていなかったことが合理的かつ十分に保証された。」と結論付けていました。

Data Center Dynamics

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