データセンターのAI:神話と現実【特集】

「データセンターにおける真のAIツールは、今日誇大広告されているものとは異なります」

まだかなり時期早々ではありますが、人工知能( AI )がデータセンターの設計、管理・運用手法の変革を目指し設定されていることは明らかです。現在、AIがらみでは多くの不正確な説明や誇大宣伝が行われていますが、それが実際にいつ、どのように実現されるのか?については必ずしも定かではありません。 Uptime Institute の見解では、今後数年間は保守的で限定的なユースケースにおいて、ゆっくりと展開されていくだろうと想定しています。しかし、その影響は徐々に大きくなっていくでしょう。

これまでにいくつかの傑出したアプリケーションがありました。たとえば、 予知保全 や ピアベンチマーク などです。今後サプライヤや大企業らがAIを適用して、リソースの使用率や、環境への影響、 レジリエンス 力、機器の構成など、より広範囲に渡るパターンの分析を進めていくにつれて、さらにアプリケーションは進化していくと予想しています。

スモールスタートから

ただし現在、 データセンターにおけるAIの活用の多くは既存の機能やプロセスを改善する目的にとどまっています。ユースケースで言えば、冷却効率の向上やアラーム抑制や運用の合理化など、既存運用の効率化などです。また、他のテクノロジーよりも高い精度でリスクを予測することに焦点を当てています。

AIは現在、機能やプロセスをより速く、より正確に実行する点に注力されています。言い換えれば、それほど新機能を追加しているのではなく、より良く改善されています。以下の表は、Uptimeインテリジェンスレポート ”非常にスマートなデータセンター:人工知能が運用上の意思決定にどのように力を与えるか” から抜粋したものです。表は現在提供中か、あるいは開発中のAI機能やサービスを示しています。いくつかの例外はありますが、データセンター管理者、特に既にデータセンターインフラ管理( DCIM )ソフトウェアを導入している管理者にとっては馴染みがある内容となっています。

では、これらの例以外でAIをどこに適用できるのでしょうか?AIは、機器の故障率を予測したり、コストの試算・予算への影響、サプライチェーンのニーズ、あるいは設計変更や構成に対する影響をモデル化するために使用される可能性が高いと考えています。例えばこれから構築するデータセンターを事前にモデリングしシミュレーションを行い、運用、パフォーマンス、総所有コスト( TCO )などを Tier II設計とTier III設計の比較の中で検討したりといった活用方法です。

一方、まだ専門家しか深く理解できないAIの複雑さの問題や、多くのデータセンターではまだ斬新な技術であることもあり、今後誇大マーケティング広告やガセ情報が更に増えてくると予想されます。例えば:

  • 神話#1: データセンターに最適なタイプのAIがある
    AIに最適なタイプは、特定のタスクに依存します。あるシチュエーションでは、より単純な ビッグデータ アプローチ(AIではなく)の方がより適している場合があります。このため、 Data center Management as a Service (DMaaS)などの新しい「AIドリブン(またはAI駆動)型」製品は、多くの場合、AI技術と非AI技術を組み合わせて使用​​します。
  • 神話#2: AIは人間の知識を置き換える
    ドメインの専門知識は、AIを含むあらゆるビッグデータアプローチの有用性にとって重要です。人間が持つデータセンターの経験や知識は、AIが合理的な決定や推奨を行えるよう訓練するために必要であり、特に導入初期段階では、AIの結果が特定のデータセンターにとって適切であることを保証するために必要です。
  • 神話#3: データセンターAI実装のために大量のデータを必要とする
    これはAIを開発している人には当てはまりますが、テクノロジーを購入したい人には当てはまりません。DMaaSおよび一部のDCIMシステムは、数日以内に限定的ではあるが有用な洞察結果を提供できるプリビルド(=事前構築)AIモデルを使用しています。

2016年に初めて商品化されたDMaaSは、データセンターでのAIの普及を促進させる可能性があります。DMaaSを使用すると、異なる複数の施設(および異なる複数の顧客)の機器や運用環境に関する監視対象データの大規模なセットが暗号化され、 データレイク にプールされ、AIや、異常検出、イベントストリームの再生やその他のアプローチを介して分析されます。

現在、いくつかのサプライヤがDMaaSを提供しています。これは、ポートフォリオ全体から集めた内部データを分析し、意思決定を行わなければならない複数の大規模データセンターを持つ運用管理者の業務に対応するサービスです。DCIMサプライヤも、AI機能をソフトウェアに組み込み始めています。

データセンターのAIは今日ここにあり、多くの施設で(限定的に)利用できます。このテクノロジーは、既知のプロセスや機能を超えて進化していくでしょうが、おそらくもう2、3年はかかるかもしれません。

【著者】 Rhonda Ascierto氏 (Uptime Institute社 リサーチ部門VP )

Data Center Dynamics

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