【特集記事】アジア地域でのハイパースケールデータセンター構築

ハイパースケールデータセンター がアジア太平洋(APAC)地域で増加してきており、大規模かつ高速なITインフラストラクチャに対する世界的な需要の中でも最大の市場になると期待されています。

データセンターの設計・管理のスタートアップ企業であるPolymer Connectedの社長 ダレン・ホーキンス氏によると、年平均成長率13%の予測で、APACは最終的に米国およびヨーロッパ市場を上回る可能性があると言います。

ハイパーロードへのスケーリング

ホーキンス氏 は、建築・IT分野で30年以上の経験を持つデータセンターのベテランであり、ハイパースケール・データセンターの需要は、消費者行動の変化と コンバージド・インフラストラクチャ の出現に起因していると考えています。

「人々は以前はお金を支払うために、例えば週に一度銀行に行っていました。現在、人々はオンライン決済ができるネットバンクを使っています。皮肉なことにそれはたくさんの小さな取引を生み出します。銀行への1回の訪問から、同じような金額が同じ消費者から月20回から場合によっては100回の取引です。人々はより頻繁にアクセスするようになっています。そして、これらのデータは7年間保存しなければなりません。」と、ホーキンス氏は説明しています。

Polymer Connectedが計画中のジャカルタデータセンター
– Polymer Connected

「消費者は今日、日々スマートフォンで膨大な数の写真を撮っています。これらの数メガバイトのファイルはクラウド上にバックアップされ、InstagramのようなSNS上で共有され、そしてメッセージングアプリで彼らの友人に送信されています。これまで以上に多くのデータが生成されており、これらすべてが長い期間クラウド上に保存されています。」

加えて、例えばインドネシアのような急成長経済圏における需要の高まりもまた、コンバージドまたはハイパーコンバージドハードウェアへの移行を促しています。これらは、コンピューティング、ストレージ、およびネットワーキングが一つのハードウェア筐体にまとめられているアプライアンスです。すべてがソフトウェアベースで管理されているため、拡張は、ノードを追加することで簡単に行えます。

欠点は?低消費電力デバイスと高消費電力デバイスが混在する従来のITシステムと比較して、ノードの追加に伴い、コンバージドおよびハイパーコンバージドの導入はより多くの電力を消費し、直線的に拡大します。この特性により、データセンター全体に渡りラックあたり6〜8kWをサポートするハイパースケールデータセンターの能力は、以前からすれば天国のように見えます。

「私は、ハイパースケール設備はハイパーコンバージド・デベロッパーへの贈り物だと思います。以前は、500kWから1MWへ拡張の必要があった際は大変な作業でした。しかし今では、例えばシドニーとメルボルンのハイパースケールデータセンターで12週間でそれを実現することができます。ハイパーコンバージド環境の立ち上げは、より市場に迅速に対応できる柔軟性を持って行えるようになりました。調達にかかる時間は減っています。」と、 ホーキンス氏は述べています。

東南アジアのハイパースケーラー

そのメリットが間違いなく需要を牽引し、東南アジア諸国における新しいハイパースケールデータセンターの成長を後押ししています。

シンガポールでは、Digital Realty が今年の初めに、ここでは3拠点目となる50MWのハイパースケール施設の建設を発表しました。今年4月にはAirTrunkが、同国では初の60MWのデータセンターを発表しました。ST Telemedia Global Data Centres(STT GDC)の30MWのサイトは2020年中頃に完成予定で、Global Switchの30MVAデータセンターは3月にオープンしました。

また、先週Princeton Digital Group(PDG)は、インドネシアの電気通信事業者XL Axiata との合弁事業の一環として、インドネシアに大型施設の建設を発表しました。タイでは、STT GDCとFPTがハイパースケールデータセンターを建設する目的の合弁会社の設立も発表しています。

熱帯への挑戦

熱帯気候でハイパースケールデータセンターを建設する際の基本的な概念は、従来のデータセンターのそれと大差はありませんが、最高の効率で運用できるかは別の話しです。湿度は1つの課題であり、データセンター事業者はダクト内の結露に注意を払う必要があります。これは長期的に問題を引き起こす原因となり得るカビの成長をもたらす可能性があるためです、とホーキンス氏は述べています。

既にデータセンター事業者が採用している対策の1つは、建物への直射日光を軽減するための建物の上部に外部シールドを設置することです。これにより、データセンターのサーマル効果が向上します。ホーキンス氏は、この対策は、近代的な施設よりもおそらく古い施設でより効果を発揮するが、近代的なハイパースケールデータセンターに対する対応策は更に限定されるであろうと認めています。

「工業団地で電力網の電源を切るつもりなら、それは挑戦的になるでしょう。オフセットを購入することはできますが、施設自体の効率は向上しません。それは認識された排出量は減らします。それは PUE 1.5と「グリーン」であるかもしれませんが、実際PUE1.5より良くはありません」と彼は言いました。

1つの選択肢は、データセンターをより高温で稼働させることですが、これをすぐに実現することは難しいでしょう。状況を打破するには、機器をより高温で稼働させるようにすることが、おそらく最大の検討項目になるでしょう。あるところで、60℃の高温環境で機器の動作検証を行っている事例も聞いています。

ホーキンス氏は、サーモスタットを非常に高温に設定した場合に、潜在的な副作用の可能性があると注意を促しています。「ラックあたり6kWや8kWに達した場合、銅線で標準被覆の電源ケーブルを使用している場合、ビニールが溶けてしまうかもしれません。ケーブルによっては許容使用温度範囲を超えてしまいます。」

「私たちのアプローチはPUEを1.5にすることです。東南アジア地域で、メルボルンやシドニーなどの都市に匹敵するPUEを得ることはできる思います。しかし、それは異なる方法で実現しなければなりません。電力供給について根本的な観点で考え、その具体策を考えなければなりません。そして、どのようにエネルギーを経済に使い、冷却を補助することができるでしょうか?」

アジア向けの建築設計

現時点では、従来のデータセンターが今日の姿であるように、ハイパースケールデータセンターが時間の経過とともに強化されることを期待しましょう。「当初データセンターを構築したときの設定は、その後12か月以内に行った設定とは異なっているはずです。」とホーキンス氏は述べています。

「パフォーマンスが改善されるよう調整や修正がなされたはずです。データセンターの設置後、スタッフが機器の使用方法、ダクトの管理方法、冷却の流量などについての習得が進むににつれて、より良い環境になっていきます。」

熱帯気候環境で近いうちに実現が難しいと思っていることを ホーキンス氏は 1つあげています、それはおそらく フリークーリング であると。「 フリークーリング は熱帯気候では本当に難しいと思います。それを実現した事例を見たことがありません。何らかの理由でまだ試みようとしている人はいますが。」

ホーキンス氏は、 最終的には東南アジア地域におけるハイパースケールデータセンターは、その地域特性に沿った特別な設計構築を考える必要があると考えています。環境条件に応じて外部プラントを設置する方法から、シンガポールや香港などの都市部では複数階建てサイト固有の複雑さに対する考慮など、幅広いニュアンスがあります。

「アジア地域は他の基準に従わずに、独自のデータセンター基準を作成する必要があります。世界の他の地域の設計をそのまま持ち込むことはできないと思います。」と彼は総括しました。

「そこは多くの人が住む大きな地域です。予測どおりの成長率が続くと、米国やヨーロッパを追い越す可能性があり、世界最大のデータセンター市場になるでしょう。この地域独自の気候に適した独自の規約を持つことは意味があります。」

Data Center Dynamics

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