【特集記事】国内企業・データセンターが抱えるシステム問題と向かうべき方向性

デジタルトランスフォーメーション(DX)による変革の波

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現在、世の中にはデジタルトランスフォーメーション( DX )といわれる大きな波がグローバルなスケールで押し寄せてきています。

デジタルトランスフォーメーションとは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念であり、ビジネス面では「企業がテクノロジーを利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」といった概念のことです。

事実、近年 AI の進化やあらゆる仕組みがクラウド化の方向へ進みつつあります。それにより人々の生活がより良く変化し、同時に企業のビジネスも大きく変化してきています。

GAFAを筆頭に、日々新しいサービスが生まれています。デジタルビジネスは今まで以上のスピード感で加速します。

そんな中、伝統的な日本国内のIT文化に起因する問題点が指摘され始めています。

– Pixabay

老朽化したスクラッチ開発システムが2025年以降の経済損失の要因に?

経済産業省が2018年9月7日に発表した「DX(デジタルトランスフォーメーション)レポート」では、複雑化・老朽化した既存システムが足かせとなり、2025年までに予想されるIT 人材の引退やサポート終了などによるリスクの高まりなどに伴う経済損失は、2025 年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)にのぼる可能性がある。との警笛を鳴らしています。

これはどういう事なのでしょうか?

まず、 日本のIT文化は欧米と比較して、大きく異なっていました。

例えば、社内の運用管理システムを例として考えてみます。伝統的に多くの国内企業は、自社の基幹業務のIT化を実現する際に、業務にITを合わせる考え方をベースに、いわゆる「スクラッチ開発」と呼ばれる各社独自のシステムを構築してきました。

この独自システムは、いわゆるシステムインテグレーター(SIer)企業によって、要件定義から設計、導入、試験、そして保守に至るまで、 まるまる請け負う契約形態で収められていました。

ユーザ企業は出来上がったシステムの利用のみで、あとはSIerが全て面倒見てくれるので、ユーザー企業にとってこのような「丸投げ」は都合の良い仕組みでした。

このように日本では結構長い期間、ユーザーとSIerとの蜜月関係が続いていました。 これには伝統的な日本独自の商習慣も影響しています。

一方、欧米ではITに業務を合わせるという、まったく逆の発想でパッケージシステムを使い基幹業務のIT化を図ってきました。

パッケージソフトウェアメーカーは、規格やガイドラインの標準化を行うグローバルに権威のある業界団体(以下)が定めた指針に従い、製品の開発を行っています。

ユーザー企業は、このパッケージソフトウェアに合わせてビジネスを変革します。 例えば、Salesforceのようなクラウド上で営業管理を行うような SaaS モデルが出れば、業務プロセスをそれに合わせて変更します。

代表的な業界団体

  • ANSI (米国国家規格協会)
  • TIA ( 米国電気通信工業会 )
  • ASHRAE (アメリカ暖房冷凍空調学会)
  • Bicsi ( ネットワーク技術者のための国際的な非営利NPO教育機関 )
  • Uptime Institute ( データセンターの設備に対して Tier レベルを認定する民間機関 )
  • The Green Grid (ITやデータセンターのエコ化を推進する参加企業のアライアンス団体)

おのおのの企業の運用ルールに100%合わせて設計された「オーダーメード」システムは、当然その企業にとっては最適なシステムです。

しかしながら、一方これらは汎用性に乏しく硬直的であり、目まぐるしく変化する今の時代では決して適切とは言えません。スクラッチ開発されたシステムは開発や更改に多大なコストや時間がかかってしまいがちです。

事前に定義した要件に基づき、期間をかけてシステム開発を行う従来の ウォーターフォール型 開発は、システム完成まで多大な時間と開発に掛かる工数を必要とします。

そこで最近では、より迅速かつ柔軟にシステム開発が行える アジャイル型 開発や、開発者と運用者が綿密な連携を取りながら開発を進めていく DevOps という概念がトレンドとなりつつあります。

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