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データセンターの光ファイバ配線でよくある課題トップ5【特集】

「複雑なケーブルの相互接続性の理解は、システムの導入を成功させる為には非常に重要です」

光ファイバケーブル間の相互接続性は、現在のデータセンターのネットワークを構成する上で避けては通れません。

近年の帯域幅やデータ転送の高速化に対する要求の高まりに対応し、光ファイバの技術も進化していますが、同時にその構成はより複雑になってきています。今回、複雑になった光ファイバの導入を行う際に気をつけるべきポイントと良くある落とし穴を概説しています。

最新技術の組み合わせは複雑

毎秒40、100、400ギガビット、さらにその先へ…伝送速度の高速化は、マルチファイバコネクタ( MPO / MTP )、シングルモード用の波長分割多重( WDM )、角度付き研磨コネクタ( APC )などに代表されるテクノロジーの進化により実現されています。

ご存知の通りこれらの技術の多くは何年も前から市場に出回っています。今日、多くの現場ではこれらのテクノロジーを組み合わせた配線が組まれています。

しかし、今日のデータセンターでは、配線設計ひとつがデータセンターの運営に重大な影響を及ぼすリスクがあるので細心の注意が必要です。

以下では、データセンターの構築段階や拡張時で、日常的に起こり得る状況や課題を5つ紹介します。

MPOコネクタ – Wikimedia Commons
  1. 異なるインターフェイス
  2. 適切な光ファイバケーブルを使う
  3. 極性の問題
  4. コネクタの不一致
  5. 施工上の問題

1. 異なるインタフェース

間違ったインターフェースやモジュールの選択によるトラブルは様々な理由で起こり得ます。最も一般的なのは、ネットワークエンジニアとデータセンター機器設置担当や業者との間のコミュニケーション不足です。例えば、設備側で用意されたモジュールが必要な伝送規格に準拠していない、例えば、ファイバチャネル通信にイーサネット SFP モジュールの使用です。 利用可能なインターフェースの種類は非常に多岐に渡るので、インフラ配線はネットワーク設計と常に互換性を持たせることが重要です。ネットワーク設計の取り組みがデータセンターの建設のタイミングより遅れ、メディアの導入が正しく行われないことがありました。

2. 適切な光ファイバケーブルを使う

ネットワークインターフェースが決まったら、ケーブルメディアを選択できます。データセンターには シングルモードマルチモード 、あるいはこれらのケーブル両方の組み合わせが必要か? またケーブルコネクタはMPO / MTP、それともLCタイプのどちらが必要か?適切なケーブルとコネクタがデバイス間に用意されていることの確認が重要です。計画中のネットワーク要件を正確に理解することで、潜在的に起こりうる互換性のトラブルが軽減されます。

3. 極性の問題

MPO / MTPコネクタの出現が光ファイバの分割や中間接続をする機能性を持たせた事で、常にケーブルの極性を検討しないといけなくなりました。この事は過去10年間で最も複雑さを増す要因になっています。コネクタタイプがオス(ピン付き)またはメス(ピンなし)のコネクタどちらにするか、またキーアップまたはキーダウン)の選択、更には様々な種類のカセット、デバイス、およびその他のケーブルがどのように嵌合するかについては、慎重に検討する必要があります。ケーブルの設計や施工時に起きるミスは、修復するのに費用がかかる上に多大な時間もかかってしまいます。ファイバ・ストランド接続のどちらの末端がデータを送信または受信しているのかを理解する事は、特に複数のホップがある大規模なデータセンターでは特に困難です。

4. コネクタの不一致

例えばアクアカラーのMPOコネクタ付きファイバーケーブルは、青色のMPOカセットに接続して動作しますか?コネクタ同士は物理的には嵌合しますが、それがイコール機能するという意味ではありません。マルチモードケーブルとシングルモードカセットの問題に加えて、カセットのシングルモードコネクタを斜め研磨(APCとして知られている)することもでき、これにより、すでに混乱している配線状況にさらなる複雑さが加わります。

5. 施工上の問題

現場での施工中で、障害の一因となる一般的な要因として、光ファイバの塵埃につながる汚れた状態や、 マイクロベンド やファイバ芯線の破損につながる不適切な施工方法などが挙げられます。新品の工場出荷時にシールされたケーブルでも、最適な結果を得るためには設置前に清掃を施す必要があります。場合によっては、将来のリスクを軽減するために複数回の清掃が必要になることもあります。適切な施工手順に従い、適切な経路を確保することで、ケーブルの損傷を軽減できます。

結論

これらの複雑さについてしっかり考慮した上で、インフラの設計段階で適切な質問をし、サーバ・ストレージやネットワーク機器の担当に対しては、ネットワーク設計の概念を確実に伝える必要があります。複雑なケーブル接続ポイントをしっかり理解することは、システム全体の施工を適切に行い、最終的にはプロジェクトの成功にとって非常に重要です。これらのテクノロジに精通しているチームと協力し、データセンター通信の最先端テクノロジーをうまくハンドリングすることが求められます。

【著者】Jerome Dorkin氏 (米Align Communications社)

Data Center Dynamics

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